タマラ・ド・レンピッカ展を見てきた。原画はどんな感じなのか印刷物やネットでの画像では想像がつかなかったのだが、実際至近距離で見た原画は素晴らしかった。
彼女の作品はずいぶんと昔から知ってはいたが、当時はあまりの癖の強さと通俗的な軽さが(若気の至りでそう見えた)鼻についてとても苦手系だった。ところがなぜかおそらくこの5年前前後からいいかもと突然見え方が変わっていた。自分の感じ方が以前と変化しただけなのだが、このアクの強さは個性として受け止められるようになったよう。マドンナがかつてコレクターになったのもあらためて頷けた。だってマドンナの肖像画と言ってもおかしくない位、彼女にそっくりな作品がいっぱいある。一時期のマドンナの表現していた世界観そのもの。
原画を見て再確認したのはファッションイラストレーションとも言える、当時の流行が反映されているモード性に感心した。挑発的でエロティックな作品さえ、身につけている女性像の美しいしなやかなドレープのシルクドレスや男性像のスーツやコートが今の目で見てもエレガントでシック、趣味がいい。ハイクオリティな素材感まで表現されていた。
印刷物だとつるっと見えていた質感は、滑らかな筆の運びで丁寧にグラデーションが描かれている。
あと、確かドイツの女性雑誌(タイトル控えておけばよかった!)のカバー画を何回か担当したらしく、その原画と実際の印刷物(合本を開いて置いてあった)の展示が良かった。印刷の具合・発色がとても良くて、その雑誌の他のページも見てみたかった。

の古いブロマイド。申し訳ないが有名な絵の方より、そのブロマイドに目が釘付けだった。典型的なB/Wの写真特有のライティングを駆使した、この時代特有の詐欺的写真(失礼!)。プラチナブロンドのショートボブヘアが印象的な中性的で見上げた表情の写真。帰ってからネットで相当調べたが、その写真は見つからなかった。きっとパリのマニアックな古書店に行ったら今でもあるのかもしれない。先月、彼女の特集番組がBSで放送されてたようで見たかった!


官能系の絵も迫力があったけれど、自分の好みは結局少女の肖像だった(笑)。以前から一番好きだった白の上下の服を着た少女の作品の眼差しは思ってた以上に挑発的にこちらを見ていたけれど、原画は素晴らしかった。